お茶漬けのしみとふるーつ寒天

お手紙風ブログ。それから本と映画、デザイン、アートとなんやかんやを赤裸々に。

『君の膵臓を食べたい』住野よる

【根暗なクラスメイトくん】である「僕」と、クラスの人気者である桜良。
対極に位置する二人だったが、
一冊の「共病文庫」をきっかけにして
友達以上恋人未満な関係になり始める。
なぜ桜良が「僕」と恋人の関係まで踏み切らなかったのか。
「死ぬ前に恋人じゃないひとといけないことをし」たがったのか。
それは恋人という関係になってしまえば
それだけ大切な存在になってしまい、
お互いの傷が深くなるからだ。

遊びという訳でなく、彼女なりの自分と他人への気遣いだったのだろう。
あっさりあの世へ行って、
周りの人にはいつまでも悲しんでいて欲しくないという純粋な気持ちだったのだと思う。
彼女は「僕」を翻弄するようにからかい、しかし時折感情を隠しきれなくなる。
二人とも、大切な誰かという存在を作るのが怖かったのかもしれない。
今まで人とろくに関わりを持ってこなかった僕と、
たくさん人と関わってきたが繊細な桜良。
対極にある二人だが、その点では共通していた。
だから、病気という秘密を共有することが出来た。
「共病文庫」は、二人を繋ぎとめていた。
膵臓を食べて、君のような人間になりたい、
という意味を込めて「僕」はメールを送信した。
相手にお互い憧れは抱いていても、
お互い相手になることは出来ない。
それでも、気持ちを共有すること、
時間を共有することは出来た。
お互いの持っていないものを得ることが出来た。
「僕」は自己完結型、桜良は他者との繋がりの中で自分を見つけていく性格。

そんな二人の言葉遊び的なじゃれあいも面白かった。