お茶漬けのしみとふるーつ寒天

お手紙風ブログ。それから本と映画、デザイン、アートとなんやかんやを赤裸々に。

『白いしるし』西加奈子 極彩色とモノトーンは似ている


自分と異質の人間であると感じた間島
に惹かれた夏目だが、
瀬田の言う通り、夏目と間島は
似ていないようでどこかとても似ているのだと思う。

描くものは全く似ていない。
だが
根本のところで、
心の底に煮えたぎる本能がある
というところが似ている
と瀬田は言ったのだ。

夏目は恋をすると
自分を傷つけると分かっている相手に対してものめり込んでしまう。
情熱と、生きようとする本能を持った
動の極彩色のカラーを発散する人物
であるといえる。

間島は浮世離れし、
静かな佇まいが特徴的だが、
その胸の中には親に捨てられ寂しい、
誰でも構わないから誰かといたい、
という感情が渦巻いている。
静のモノトーンのカラーをもった人物だ。

二人に共通するのは、
寂しさを誰かで埋めたいという感情が
心の奥にちらちらと炎を燃やしていて、
その埋め方が非常に不器用極まりなく、
世間一般的によろしくない、
しかし激しい恋をする
という点である。

激しくのめり込み、
どれだけ傷ついても誰かを、
それも求めてはならない誰かを求め、
穴を埋めようとする。

離れられたら、その相手の一部のようなもの(本編では白い絵の具)に執着し、体の一部、自分の一部にしようとする。

傍目にみれば
奇妙で不幸な恋をしている。

だが、
本人たちにとっては
本能を一番感じることの出来る、
生きていると実感出来る方法が
それしかないのかもしれない。

そうして常に
生と性
を感じて生きることが彼らの生き方である。

芸術関係に携わる人は共感出来るように思う。
短いが、
静けさと激しさのメリハリがあり、
ページをめくる手が止まらない作品だった。

芸術家タイプの人間たちの
生き様、本能の在りよう
を描いた作品。